ドッペル原画展

意識


脱水症状夏の死
壊れた画面の亀裂から見える生活
生活が落ちたら非現実が溢れた

毎日調子が悪い
毎日が非現実に浮かんでいる

自分という存在が
自分自身から勝手に遠くへ離れていく
それは体内から血液が抜けていくのと同じ様で
街の中でも背筋が伸びた
遠くの自分が怖くて 少し痛い

毎日調子が悪い
毎日が非現実に浮かんでいる
一日一日が少しずつ浮かんでいって
とうとう触れられないまま
手の届かない場所に行ってしまった
毎日がそうやって過ぎていく

過ぎていった毎日の中に彼の意識が在った
制服の内側から白くて小さな丸い、
粒の一覧を取り出す
優越感と正当な逃げ道を探している
教室を出て右に曲がった突き当り 水道の前
その場所なら少しだけ強くなれると
全ての強制を無駄にできると
彼は意識の中で思っていたに違いない

彼の意識が自分の非現実に在ると
浮かびかけの毎日が
重くなり、少し沈んだ
重くて不必要な他人の意識

意識は抑えきれない声になって
彼の口からは言葉が出る
意識は言葉になった途端に弾け
沈みかけた毎日がまた浮かんだ
それを、触れようともせず
ずっと眺めている

彼の言葉だけが非現実に浮かび残った
まだ浮遊していて
もう何処にも行かないで
毎日が過ぎていく