ドッペル原画展

無題


自分の事が手に負えなくなってしまった
泣くために音楽を好きになった
誰の言葉を借りても自由になれないのは、自分以外のものから発せられた全てを、拒否して、拒絶して、嫌っていたからなのに、そうしてしまう自分が嫌になった

新約聖書を読み始めた
まるで読み始めることが最初から決まっていたみたいに
僕の人生は、僕がいくら力を注いだって、もう決まっているような気がした
或いは力を注ぐ行為自体をも支配されているような気もした

君が、自分の意志で人生を選んだ事が無いという話をする度に、悲しんでいるように見せて心の中ではこの世界を馬鹿にしているのを僕は分かっている。
小さな箱の中で男の人生の道具になった君が、幸せそうなふりをして大きな声で"世界"と叫んだことも僕は知っている。

本当は誰かに認められたくて、愛されたくて必死な事も全部全部分かっている。君の劣等感は単なる気休めで、救いの手が差し伸べられたら平気な顔でそれを振り払うような、他人の困惑した頭が大好きな君、

僕は君に罰を与え続けて快感を覚えている
可哀想になる君を見ていると、
景色が滲んで意識が強張る

他人の困惑した頭が好きなのに
自分が困惑すると酷く恥ずかしくなって
泣いてしまう様な君が、
人を思い続けることが出来ない自分から
離れてしまったらいけないよ
離れてしまえば、僕が与える罰以外を理由に、君はとんでもなく大きな渦のような黒い影に覆われて深く困惑してしまう

そうなると、もう、駄目だ
僕の与える罰が無視されるという事が、
初めから決まっていたことならば
僕の人生は何の為の物だったのか教えてほしい
君が、思い続ける事の出来ない人であることを望み、君を泣かせる事が出来るのは僕だと言う事を、僕が正常なうちに
君という女の為だけに書いている