ドッペル原画展

2019-01-01から1年間の記事一覧

麻痺

赤い線が道に延びていくのが見えた。その線は川に沿ってうねり、途中で枝分かれしながら何処までも進み続けた。まるで体中に流れる血管であるかの様に思え、私が私の体の内部に入り込んでしまったのを想像した。見えない位に小さくなってこっそり体に入り込…

無害

12時半を境目にして腕時計の針は動かなくなった。今まで動いていたものが急に動かなくなるのは人の死と似ている。寂しさを覚えるのは、確かに時計が動いていた過去があるにも関わらず、それが今後一切再開されないと確定してしまったからだろう。意味の有っ…

氾濫

新宿GUCCIの前で歌舞伎町のホストに話しかけられたことをきっかけにして、私はクリープハイプの尾崎世界観になれることを確信した。ここではない世界や今の自分と違う価値観を武器にして、堕ちるところまで堕ちていける予感がしたのだ。今から抜け出して違う…

日記

関わる人間全てが嫌いなあの人の顔に似てきている。 特に「醜い物」は全部あの人になっている。似ている人や物に対する私の対応は酷いものだ。ただ似ているというだけなのに、嫌いなあの人との区別を付けられず、好ましくない態度を取ってしまうという終わり…

天国

どうやって予定時刻より早く帰ろうか考えていた。帰宅予定時刻は21時半だったが、21時には帰りたかった。こういう時、何故我々は時間に縛られ時間に従い時間と共に過ごしているのかその起源にまで不信感を募らせ、最終的に私の頭には「(時間が消えれば)待ち…