ドッペル原画展

2020-01-01から1年間の記事一覧

信仰

アスファルトの上で揺れている影がゆらめいて、まるで波打つ海みたいに見える。その影の一番黒い一点に視線を囚われ、目線を逸らせなくなってしまう様な周囲の静けさ。空を眺めたいのに、私の中の何かがその気持ちに反抗して怒りを覚え、黒点に縛り付けてい…

海底

朝、教室に行くと、机の上に大きな貝殻が置いてあったことがあった。誰よりも早く登校する私は、それが何処から来たのか分からなかった。一人きりの教室で貝殻に耳を当ててみると、遠くの海の音が聴こえた。「あなたの海を考えていると此処とは違う場所に行…

寝室

人を殺す夢ばかりみる。 もしくは既に殺していて、これからどうやって生きていこうか?と真剣に考えている夢。結局いつも、誰にも事実を言わずに全てを隠し通しながら生活していこうという流れになり、これから先の生活にとてつもない不安を抱えた気持ちで目…

玲音

1話 少女が生きる世界はとても閉鎖的で現実感の無いものだと分かる。滲む文字や奇妙な色に染まる道路、目障りな周囲の声、噎せ返るような退屈さ。少し空想的なところがある(あるいは霊感や超能力)。その退屈さは生きることへの疑問や人間関係における自己の…

平穏

私が壊れかけたころ社会も壊れかけている様に、風が吹いたころ海は轟音を鳴らし、ライブハウスの2階からプールの水が少しずつ滴っている。暗さや明るさは球体の中で起こる一つの事象であり、色々な関連が時間を一つの球体に纏める。過去の無い主人公が黒猫に…

説明

デパートを出て改札へ向かう途中、館内放送で女の笑い声が流れた。その放送を聞いているのは私だけなのかもしれないと思ったのは、殆どの人々がスマートフォンを眺めながらイヤホンで耳を塞いでいたからだ。私も普段はイヤホンを耳栓代わりに使っているが、…

一月

病気が見つかり手術する日が決まりました 支えてくれる人が居て良かった 愛について考えると涙が止まらなくなる これは中二病を発症してからずっと変わらない 精神的な不調も、中二病も、過去も、 病気と一緒に早く直るといいのだけれど